して、夢の自転車は、宇宙に飛んでいきました。

みは未来をつかまえた」が昭和56年(1981)ブリヂストンの宣伝コピー。
 でも、その未来は結局やって来なかったのです。

 残念と言うべきか、どうなのか。しかし、私はこれらの自転車もある種の美しさを備えていると思ってはおるのです。ロココ調がそうであったように、何というか、過剰なものの中にもそれなりの洗練はありますからね。
 かつて好きだったように、何ページか前の「モンテカルロ何とかかんとか」は、今見ても、それなりにカッチョイイかなと思いますもん。
 しかし……、と点々が続いてしまうのも事実。
 この手のバカバイク、私は、好きです。……好きでした。
 上記のテクノロボの発売当時に至っては、私も既にロードマンに鞍替えして、サイクルスポーツな少年になってたワケなのですけどね。


 代がこの手のばかばかしさに気づき始め、高くなる一方の値段に、PTAが「校則で禁止しましょう」と言い出したのも、大きな負の力となりました。

 このテクノロボ自転車が出るのと、ほぼ時を同じくして、ブリヂストンは画期的なシティサイクル「カマキリ」を発売します。
 そのシンプルで飾り気のないフォルムは、実に新鮮でした。現在、多くのスーパーの軒先に売られているシンプル自転車の原型とも言えるモデルです。
 これが多くのエピゴーネンを産み出し、結果「少年用スポーツ車」は完全に駆逐されました。
 子供たちにとっても「ゴテゴテ付属品が着いた自転車なんて幼稚っぽい」、ということになってしまったのですね。

 自転車がママチャリとスポーツ車(本当の意味での)の二つのカテゴリーに完全に分かれました。そして今に至ります。