ははは、古本屋に売っていたのだ。なかなか渋くないすか?
 見てのとおり「東京都自転車商協同組合員」の証の看板だね。右下の「さとし」は浅草で買った千社札もどきシールを貼ってみただけ。別段意味はない。
 琺瑯の看板で、見た目よりかなりガッチリしてる。だいたい縦が50cmといったところ。ところどころ錆が浮いてたりするんだけど、そこはそれ、写真にしちゃうと分からない。だいたい少々のサビは年期ってもんだ。

 私の住んでる東京江東・南砂町には「たなべ書店」という結構大きな古本屋がありましてね。その古本屋さんは通常の古本以外にも、映画の古パンフレットが一番の売り物なのだったりするのだけど、時折、こうしたよく分からないモノを売りに出すことがある。これは2,000円。ちょっと高いには高いと思ったけど、見た瞬間に「ここで会ったが100年目」と思ったね。もう買うしかない、と。

 で、現在は私の部屋の壁に貼ってあるのだ。だけど、以前はたぶんどこかの自転車屋さんの軒先にかかっていた。
 その自転車屋さんは今はどうしたんだろう? 自転車商協同組合から村八分にされちゃったのかな?

 そうではありませんね。
 たぶん、これがかかってた自転車屋さんは今は廃業しちゃったんだ。
 自転車の小売りは、現在、マニア向けの専門店か、スーパーやホームセンターに完全に二極分化してしまった。ママチャリ一台10,000円以下が当たり前の世の中で、小さな自転車屋さんはホントに成り立ちにくくなってしまったのだ。
 小さな「町の自転車屋さん」は、もう、今やってる年を召したご主人が「そろそろ引退しようか」と考えると、そのままなくなってしまう。「こんなに利の薄い商売は息子には継がせたくないよ」というようなところが、廃業の理由だったりする。
 どこの町にも必ずあって、普通の自転車を売って、パンクなど色々な修理をしてくれてた小さな自転車屋さんは、全国で少しずつ消えつつある。この看板はそういう残念な状況の象徴といえば象徴なのだ。(2003/3/24)

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